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執筆者の写真服部博明

急性胆嚢炎にみられるSonolucent layerについて

更新日:4月10日




【はじめに】

急性胆嚢炎を解説する動画コンテンツを作ろうと準備をしていたのですが、Sonolucet layerを他の方々はどのように認識しているのか少し調べてみようと思い検索をしました。


するとMicrosoftEdge検索でTOPにHITするものには「Sonolucent layer (ソノルーセントレイヤー) 急性胆嚢炎などで炎症が高度の場合に、胆嚢壁が高・低・高の3層構造として描出されるが、このうちの粘膜と漿膜との間の低エコー層のことを意味する。」と記載がありました。

Google検索ではTOPのページの記載が「超音波検査を行ったときに、胆嚢壁が白く見えることです。sonolucent layerは超音波検査の医学用語で、胆嚢壁がむくんで厚くなったところが白く見える状態を指します。」となっていました。


超音波医学会の用語検索ではHITせず、他の文献もつまりどういう状態?といった記載でした。


服部はEdgeの方の記載に補足したいと考えます。

Google検査の方は意味合い的に誤っているのではないかと思いますが、実際には意味合いがあやふやなまま使われていることを反映しているのだろうと思います。

以下に動画コンテンツに載せる予定の1ページをここで共有しようと思います。


【Sonolucent layer解説スライド】

Sonolucent layer
画像はコンテンツ利用に対して同意を得ています

【服部の考えるSonolucent layerとは】

急性胆嚢炎の超音波所見と考えたとき、慢性胆嚢炎や胆嚢癌などの持続的な炎症により固有筋層が肥厚した状態である内側低エコーと外側高エコーの間、つまり粘膜層と漿膜下層の間の低エコーをSonolucent layerとしてしまうと用語としては低輝度な層であり一致するのですが、急性胆嚢炎の所見としての意味とは異なってしまいます。

そのため、先述のTOPにHITしたページの記載は「粘膜と漿膜との間」となっています。つまり漿膜下層を含んでいるのです。

実際に急性胆嚢炎でみかける低輝度層は外側高エコー層の内部、つまり漿膜下層内に線状に低輝度層がみえるといったことが多いです。漿膜下層は他の層と比しても豊富な血管やリンパ管を含む部位であるため、浮腫状変化がおこりやすく、この低輝度層は急性の炎症による浮腫を反映していると考えるのが妥当ではないでしょうか?


【所見をどう考えるのが良いか~服部の見解~】

あまり用語がぴんとこないなと私も学んでいるときに感じていました。

服部は上述の理解でいますが、本質的に大事なことは「急性胆嚢炎」を超音波検査で疑い、スムーズに主治医に報告、患者さんを安全に治療へとつなぐことだと思います。

そのため、Sonolucent layerかどうかというより、胆嚢壁が肥厚しており壁内で浮腫状の変化が生じているか否かが重要だと思います。

そのとき、慢性胆嚢炎などでみられてしまう固有筋層肥厚を反映する低エコー層を誤認しないことが大事だと思いますが、これは胆嚢腫大の有無である程度振り分けることができるのではないかと思います。


では、なぜこのことを記事にしたかと申しますと、超音波検査を学ぶときにあやふやであったり、みたものによって記載が異なっていると混乱してしまい、そこに意識がとらわれて実際に検査しているときにも邪魔なノイズとして脳内をかけめぐる可能性があるからです。

詳細を記載している記事があまりないことも学ぶ妨げになっているかと思い、記事にしてみました。

この記事が読んだ人の頭を整理する助けになり、急性胆嚢炎の超音波検査を行うことになった際に冷静に患者さんを治療につなげていける検査者になる助けになっていればと思います。



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